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ツールド北海道 正面衝突死亡事故 / 交通規制と大会運営の実情を現場から #3(本題)

ここからが本題です。

北海道のマスコミが配信したニュースやSNSを見た一般の方は、接触した自動車が悪い、反対側に飛び出した選手が悪いを中心に論争。ある程度実務に携わっているだろう方は、危険な状態で開催した主催者とサポートする競技連盟が悪いと分かれていましたが

ご存知でない方に覚えていただきたいことは

・レースを開催する権利・責任を持つのは主催者(公益財団法人ツール・ド・北海道協会)

・そのレースの安全とルールを守られているか確認・遂行するのは今回派遣された日本自転車競技連盟の審判団

今回衝突した車両が殺意を持って暴走しない限り、衝突した車両でも、ましてや亡くなった選手でもなく、全ては主催者に責任があります。


この過去動画を見てもらうと、とっても危険度が高いレースだったことは間違いありません。昨年参加した選手からも危険だったと証言があります。

現場から、片側でどうしても対面通行をさせなければいけない場合、警察や国土交通省・土木事務所などから許可のために求められる条件は2つです

(1)中央にカラーコーンとバーを設置する
→これは国道など交通量が多い場合、設置する人が車両と接触するリスクも高くなる危険性もあります。
(2)片側通行エリア前後に関所を設け、通過する車両に片側レース開催中であることを知らせ、広報車・エスコートバイクを多数配置する。


過去に、国道6号を片側規制で実施した際の様子です。お待ちいただける場合は待っていただき、通行しなければならない場合は対向に自転車が来る旨車両に知らせて実施。全選手が片側規制区間を通過するまで言葉で言うのは簡単ですが必死でした。ツールド北海道は正直異常であったと言わざるを得ません。

そもそも、ツールド北海道はUCIレースです
https://www.tour-de-hokkaido.or.jp/

UCIレースの規則
https://www.uci.org/regulations/3MyLDDrwJCJJ0BGGOFzOat

(重要箇所)
https://assets.ctfassets.net/761l7gh5x5an/wQympSG6EWlKq6o6HKw9E/09b09663d851fda0242cfaccc0313050/1-GEN-20230804-E.pdf

1.2.062 Without prejudice to provisions requiring an entirely closed circuit, all traffic shall be stopped on the course as the race passes through.

(要約)
クローズドサーキットでない場合は、レースが通過する場合はすべての交通は止めること。

片側通行で走るレースは、UCIレースとして認められないはずですがなぜか認められています。体制表を見るとUCIから派遣されているようにも思えません。日本自転車競技連盟の副会長を含めた要職にある審判長、競技ディレクター、コミセールパネル、大会セーフティマネージャー、フィニッシュジャッジのみなさんがその件を知らないはずはありません。

レース主催者がこのプランで実施しますと言っても、参加選手に危険が及ぶものは意地でもストップするまたは改善させるのが競技(審判)の役割であり、機能していない状態でレースが行われた、UCI認可・申請をしたことに対して「審判側の過失」と思われる点があることは否めません。役職以下の一般の審判員の皆さんは、与えられた業務を果たすことが役割であり、一般の審判員の皆様に非が及ぶものではないこと、今後萎縮されることがないよう強く明記しておきます。

今年、地元ヒルクライムレースで、競技側として事前確認の時にコース整備が行われておらず改善をお願いしましたが、当日になっても主催者(事務局)コース整備(具体的には草刈り)を怠っており、道幅も狭く見通しも悪い区間があるため競技管理としては安全が担保できないと、少人数で出走できるネットスタート形式に当日急遽変更したこともありました。参加選手の皆様には申し訳有りません接触落車を防ぐことに重きを置く判断をしました。

(命に関わる、競技側の重要証言)
選手団の位置で正面衝突がおきるまで、競技車列の前半の方全員対向車を認識していなかったという重要な証言がありました。競技管理する側の方は不思議で仕方ないと思います。証言通り本当にいなかったのか?競技役員がミスで見逃してしまったために起きた事故なのか。

参考に、地元マスコミHBCさん9/15日の記事も参照ください
https://www.hbc.co.jp/news/5826a313ffaa5c61644de51394428739.html

人の目、人の感覚はあてにならない前提で現場は動いています。

ドクターX 大門未知子さんのように私、失敗しませんから
https://www.tv-asahi.co.jp/doctor-x/

という人間は1番現場であてになりません。人間だから必ずミスが起きます。それを相互カバーによって致命的なトラブルに至る前に防ぐのが現場の戦いです。下図は「思い込み」の良いサンプルです。ひらがなでと書いてあるのに10人連続で間違えてしまっています。

ただ、この証言が事実かどうかで、衝突事故が起きた直接の原因は判明するので来週のツールド北海道協会の会見を注視しています。

【カメラ映像の重要性】
本来であれば選手および競技車両にカメラ装着してあれば、この証言が事実か直接の原因も数日でわかります。UCI規則では選手がカメラ装着を許可しているにもかかわらず、JCFのレースは「カメラ」装着が禁止または別途申請が必要であることが多く、競技中の様子を知ることがあまり出来ません。審判の方々からすれば誤審の証拠となる観点から、撮影NGとしたいのもわかりますが、起きたミスはミスで認め選手に謝罪し、起きた事実を全体で共有し改善していこうというのが本来の連盟の役割と考えます。我々はカメラ装着推奨です。いつ、どこで、何が起きたか把握することに協力いただきたいからです。過去、それを元に選手の失格処分を行ったこともありました。選手側は誤審やトラブルの際の提示、裏方は集団状況の把握と情報は全てクリアにする。とても大切なことだと考えています。

【警備計画の改善が必須】
ツールド北海道の初日174kmの交通誘導員の数が300数十名と聞いて増員が間違いなく必要です。下図は台風13号の影響で中止になったツールドふくしま211kmの基本資料と比較すればおわかりいただけるかと思います。距離が少ない、または北海道で福島よりは人が少なくて済む部分ももちろんありますが手薄であるのは間違いありません。

なぜ、それで許可が出るのか、警察署の仕組みを皆様に共有すると

警察署(交通管理者)および土木事務所など(道路管理者)は、初回の協議は一般の人が精神を病むくらい何度も何度も綿密に打ち合わせを行ってはじめて公道封鎖でのレース開催許可がいただけますが、数年事故がなく終えていれば「例年通り」とスムーズに処理いただけるのです。ある意味申請する側にはメリットです(本音)が、ツールド北海道も過去大きなトラブルなく進むことができたので同様の状況だったかと推測されます。

そして現在の交通状況に合わない警備計画であった可能性は充分にあったかと思います。事故がないから前年同様ではなく、都市整備や交通事情も4~5年経てば大きく変わりますので交通管理者および道路管理者の皆さんに「定期的に問題がないか」チェックしてもらうことが、参加選手の安全につながりますので実施されていない大会があれば一度総点検をされることをおすすめします。

【開催を継続するためにはどうすればいいか】

日本国内の数少ないラインレース(かつステージレース)であり、絶対になくなって欲しくはありません。
現場目線で、この状況下でも警察署・道路管理者の許可がいただけるかを考えると以下の3点です。

(1)片側規制でのレース開催は禁止
時間交通規制で開催が許可されるルートを策定しその根回しを主催者が行う。
一部どうしても片側を行わなければならない場合は、記事冒頭のカラーコーンを中央に設置または相応の広報・エスコートバイクを配置が必須する。

(2)交通誘導員の増員
適正人数は現在の1.5倍から2倍程度は必要と考えます。交通誘導員が確保できるかどうか。

(3)競技役員の刷新
2023年度の競技役員は今後ツールド北海道にはたずさわらない。全ての責任は主催者にありますが、それを止められなかった審判団にも非はあります。思い込みがおきないよう新たな目線で体制を組み、新体制が安全に競技を開催できるか判断・問題がないことを確認。

参加者の皆様にも現場の裏側、裏側の目線、なぜ起きるのか、危ないと思った場合には敬遠・回避してもらうことができるよう 生の声・目線をお伝えさせていただきました。前途ある若者が亡くなっているわけです。簡単に継続の話ができるものではありませんが、事前の根回し、体制の確保、そして予算の確保と、ツールド北海道協会には体制を整えて継続をしていただきたいと心から願うばかりです。

文責:鵜沼 誠

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