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サイクリングイベント(交通封鎖なし)の道路使用許可 / 許可を出す側の目線について #1

トラックと自転車の事故 自転車に乗っていた女性死亡 東京・江戸川区

サイクリストが亡くなったこと大変残念です。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

ブルべに参加中だった(らしい)との情報ですが、成否はわかっておらず、サイクリングイベントおよびブルべが今後、全般的に想定されることを、現場の実情を踏まえ、利用者と反対側(許可を出す側)の目線も加えて記載しますので、情報としてお読みいただき1人でも怪我・亡くなることが少なくなるようになればいいなと思います。

Audux Japanのブルべとは
https://www.audax-japan.org/brevet/about_brevet/

ブルベはノーサポート・自己責任のイベントなので、天候変化、ミスコース、メカトラブル、さらには公道を走るため事故のリスクにもすべて自分で対応しなければなりません。補給やリタイヤしたときの回収車もありません。参加者は私的な走行をしているとみなされ、Audax Japanおよび主催者は責任を負いません。運営はすべてブルベ参加者であるAJ会員がボランティアでおこなっており、商業イベントとは異なります。

と記載がありますが、残念ながら日本においては、過去の判例からも意味を成しません。

海外の(自己責任が主流)と日本の(他責が主流)の考え方の違いがあり

法的解釈、まず結論として

日本においては、WEBサイトで参加者を募って、参加費が発生した時点、主催者の責任は問われます。
https://www.sportsentry.ne.jp/event/t/93523 

サイクリングイベントの規制は主として2つあります

(1)道路使用許可4号 と (2)署長規制

(1)道路使用許可4号
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/shinsei-todokede/dourosiyoukyoka/permission.html
簡単に説明すると、道路を使って賑わい事(催事=集団で集まって道路などで普段の使い方以外のことを行う)をする場合は必ず管轄警察署から道路使用許可を取得せねばなりません。これは道路を使って賑わい事を実施するためのもので、皆さんがイメージする「車両規制を行ってのレース」ものではありません。また、これとは別途で道路占有許可も必要になります。道路占有許可は建設事務所や土木事務所で、道路自体に異常がないか管理する部署から許可を取得します。

3/19 道路のみと思う方も多いと思うので追記。
道路使用許可4号は、道路のみでなく

  1. 一般交通の用に供するその他の場所
    1、2以外で不特定の人や車が自由に通行することができる場所をいいます。
    (不特定人の自由な通行が認められている私道、空地、広場、公開時間中の公園内の道路等)

も該当します。私有地をのぞいて集まって催事を行う場合に必要。

警察署=交通法規から安全を確認する部署
道路管理者(建設事務所・土木事務所)=道路自体の安全を確認する部署

と覚えておくと良いですね。

(2)署長規制
公道を封鎖の上、車両規制を伴うイベント(こちらが皆さんが思う規制許可です)レースだけでなく、サイクリングでも特別な場所を走行する場合に署長規制許可を取得してイベントを実施します。
https://www.police.pref.fukushima.jp/03.tetuduki/-jyouhoukoukai/reiki_int/reiki_honbun/u244RG00000838.html

一般の方はまず(2)署長規制は取得することは出来ません。弁護士と同じようなイメージで、法令を把握した上で、さらに各所へ説明と交渉(納得いただく)スキルがあることが求められるため難易度が高い作業。冒頭に日本においては(他責思考)がほとんどであり(自己責任)は通用しないと述べましたが

警察署や道路管理者は、10名以上~20名くらいまでなら 道路使用許可4号を取得せずとも良いと、おめこぼしをしていただけますが、それ以上の場合はいつ、どのルートで、何時頃走って、医療体制、それに対する傷害保険・賠償責任保険等があるのかを必ず求められます。

仮に、今回の冒頭記載の事故が、ブルべ中の死亡事故だった場合は、今までグレーだった扱いが明確に判断され、現状と同じスタイルでのブルべ存続は難しくなるでしょう。サイクリングイベントに準じたコストをかけた体制は確保できないわけです。

警察署や道路管理者は、不特定多数が集まって道路を利用することは、安全上からそして管理責任も問われるため「本当はしてほしくない」という大原則をサイクリスト全員が理解しておく必要があります。

【許可を出す側の目線】
(届けも安全対策もなく、勝手に集まって何しているの?)それで事故?とんでもないよね?と思っています。許可を出す側からすれば何か起きた時のヘルプがないイベントは危険極まりないものという認識。弊社は日本最多レベルで交通規制を行っている会社であり警察署へ足を運ぶ機会も多いのですが「夜間ベストを着て多く走っているイベントあるよね?おたくもかかわっているの?」と交通課の方から聞かれます。

200km程度の日中のブルべなら良いですが、400kmや600kmなど夜間走行を伴うものは危険極まりない(夜間で視認性も悪く、寝ないで走行せざるを得ない=疲れもあるのはよろしくない)というのが彼らの見解です。

サイクリスト目線だけでなく、自分が許可を出す側(そしてその責任を追う立場だったら)皆さんは許可を出しますか?

これはイベントではありません。自己責任で走ってね。サポートもありません。きっと皆さんが許可を出す立場ならOKを出さないと思います。

許可を出した人が責任を問われる世の中です(日本は特に)許可を出す人間の出世(生活)に響きます。安全・サポート体制を整えてやってもらわなければ許可は出せないよという考えも理解してあげねばなりません。

その上で、許可を出す側の人間の状況も理解した上で、サイクリストのやりたいこととのバランスを取っていくことが求められます。

弊社では、おもてなしなどは主催者ですが、基本となる部分道路封鎖からイベント実施までワンストップで承っています。200kmのラインレースの段取りや、福島県の主要都市いわき市で、路線バス・高速バスなどの調整も行い、駅前を完全封鎖したナイトクリテリウムなども。多数の公道封鎖から学んだことを後半に記載します。

その#2 に続く。

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