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第36回美山サイクルロードレース競技報告

2023年5月27~28日 場所:京都府南丹市美山町
第36回京都美山サイクルロードレースの競技管理を担当しました。

(0)現状のヒアリングおよび京都府南丹警察署へ問題点の洗い出し
過去35回開催されている歴史ある大会です。事前に過去資料を全て読込み、5月8日自転車で実際のコースチェックおよび交通管理者「京都府南丹警察署」へ伺いヒアリング。主たる課題は落車、車両規制(前回侵入車両と交通整理員の接触などもあった)、参加者の事前・当日の試走時の違反行為について現状を把握し対応策を提示。

(1)5月27日~28日 総エントリー数と実参加者数、推定観戦者数
・27日タイムトライアル 天候晴れ気温27度 エントリー176名、実参加者数162名 推定観戦者数400名
・28日ロードレース 天候晴れ29度 エントリー619名、実参加者数550名 推定観戦者数2000名

(2)第35回の主たる問題点と改善

立哨(交通整理員)の統一番号が付与されておらず、先頭と最後尾の位置情報管理が「専用アプリ」を見ている人以外は曖昧ということがわかった。競技管理を行う上で地点番号を全てに付与し、どこで何が起きたのか全員が共有できるようにマップを改定。



また、弊社は多数の公道レースを扱っており、交通整理員には事前トレーニングが必要であることを把握。要点を絞った事前トレーニングを実施。

公道レースの場合、地元交通整理員と、競技管理側の意思疎通が最も大切(地元の方は地名や、知り合いの名前で言うことが多いため)必ず地点番号を軸とし、シンプルに3点にしぼり、無線の使い方を含めたトレーニングを実施しました。画像は指導内容を元に実行委員会事務局中島さんが作成。

(3)カテゴリ・スケジュール・ルール・参加人数等の問題点と対応

募集開始後に弊社へ依頼があったため大きく要項を変えることはできず。要項の通りの範囲で、最小限に収めることが求められる。

27日タイムトライアルは 12km,8km、4kmと周回が異なるタイミングで出走させないといけないタイムスケジュールになっていた。12km出走中に8kmを走らせなければならない(クロスする部分が出てくるだろうと細心の注意を払ってはいたが、12km・8kmの選手と競技管理バイクが近接するタイミングがあり)ゼッケン229番の選手には迷惑をかけて申し訳ありません。減速があったとして当該選手に「記録から-3秒」の時差調整を行いました。
28日ロードレースは朝の1レース目C4(1周の部=技術・経験が少ない)が154名。経験が少ない方を同時に154名公道走行をさせるのは本来避けるべき内容であり、安全管理の面からも次年度はタイムスケジュールを変更し1カテゴリ100名以下 C4-1、C4-2など2組にわけることを推奨する。

今回は落車を最小限に減らすためC4に関しては「選手からクレームが出ることを覚悟の上」集団を縦長になるようMOTO、サポートライダーに指示しました。また1周の部C4はタイムアウトなしのルールだった。10kmのコース1周を走るのに30分弱かかる方がおり、C2、C3、C1の進行に遅れを生じたため次年度はC4においてもタイムアウトありで競技を行うことも推奨する。

(車種規定)
個人タイムトライアルにおいて大会当日リカンベントの参加者いることを認識(大会要項に禁止記載はなかった)リカンベント参加者は経験豊富な方が多く、安全に走行される傾向にあることを把握しているため、競技責任者としてリカンベントの出走を許可し、主催者に賞状と賞品の提供を依頼。次年度よりリカンベントカテゴリの新設も依頼。

次年度、大会全体のスケジュール、参加規定、カテゴリ(定員)の見直しは必須 と判断します。

(4)想定される落車ポイントと、大会当日の応急対応者数

競技管理責任者として、実際に自転車でコースを試走および過去参加した選手から落車ポイントを綿密にヒアリング。

・経験が少ない方のパレードラン中の落車が多い(スタートから1km地点くらいまでに発生)5~10番地点まで
・交差点での落車が多い 16番宮脇交差点付近、35番上平屋交差点、45番下平屋交差点
・特に、ゴールへの勝負どころ静原交差点での落車が重大事象になりかねない(2022年度発生)

第36回大会での、競技最後尾に配置したドクターカーの応急対応は5名
・2人は広範囲の擦過傷で処置後、本部回収(発生ポイント40番、25番)
・2人は打撲、出血のない擦過傷(発生ポイント和泉交差点55番、スタート1kmパレード中)
ドクターカー対応中に、万が一に備えた最後尾車両に地元消防救命士に同乗をお願いする。1度診断対応をいただきご協力ありがとうございました。

2023年(第36回大会)の
落車発生ポイントは40番、25番、55番、スタートから1km地点。皆様のご協力のおかげで重大トラブルはありませんでした。九鬼ヶ坂などパンクに起因するものや、パレードラン中の低速走行での落車(軽症)は主催者手配本部にて対応。

(5)情報発信の強化

レースを見える化することは、競技管理の面だけでなく参加者へのサービスとしても重要と考え、タイム計測データをリアルタイムに配信。弊社で国内販売代理店を務める Raceresult はWEBベースの計測であり、位置情報サービス Verodash や映像ライブ配信との親和性が高く

大会結果サイト
https://my.raceresult.com/239957/

山岳賞の途中経過や暫定Resultの配信なども実施しました。閲覧数は累計約1万人のアクセスでした。例年、結果や進捗がどこまで進んでいるかわからないという問題をクリアできたと思います。

(6)交通整理の反省・問題点

例年の参加者・観戦者からも例年より交通規制時間が短くスムーズだったと総評はいただいたが交通整理の抜けが発生し、競技側のバイク隊と京都府警の白バイ隊にご協力頂いたことが数回発生した。特に静原交差点~和泉関門(番号45~55付近)は、双方向での走行が可能での交通規制条件となっており、その地点からゴールへの「染み出し」があり競技側で対処。C4など当初のレースで染み出しが多かったため、中盤から先頭が41番ライスセンター(8.5km地点)を通過したら早めに完全交通規制に切り替え対応した。

(7)最後にご挨拶

皆様のご協力のおかげで大きなトラブルなく終了。西日本でもっとも伝統ある公道レースを継続することができました。地元美山町の皆様の熱い思い。MOTO隊やサポートライダーを含め関わっていただいた全ての皆様へ心より感謝申し上げます。

この大会は競技を除くほとんどの業務を地元美山町の皆様が実施。競技管理に関しても今回から積極的に携わり今後自立して実施していこうといういう姿勢が強く感じられ「新たな市民レース」のモデルとなっていくと感じました。

また機会があれば皆様と共に。ありがとうございました。

2023年5月31日 競技管理責任者 鵜沼 誠

※掲載写真は 大会オフィシャルフォトグラファーを努めた @yuki_asato さんが撮影。

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