公道レースの安全をどう守るか?~車両通行止の実際~

公道レースの安全をどう守るか?

多くの人々を魅了する、公道を利用した自転車レースやマラソン大会。その華やかな舞台裏では、常に「安全」という大きな課題が存在します。警察の許可のもと、大規模な交通規制を行っても、残念ながら車両の侵入といった人為的ミスによる危険は後を絶ちません。

なぜ、こうした問題が起きてしまうのでしょうか。そして、どうすれば真に安全な大会を実現できるのでしょうか。12年間の現場経験から見えた課題と、その解決策を提案します。

問題提起:なぜ事故のリスクはなくならないのか?

大会の交通規制は、警察官、警備員、そしてボランティアスタッフなど、多くの人々の協力によって成り立っています。一般的には「警察官が最も信頼できる」と思われがちですが、熟練した警察官が担当する交差点でさえ、車両が進入してくるのが現実です。直近のレースでも警察官が立つ交差点から車両が侵入がありました。

原因は、シンプルに「人」にあります。 人は誰でもミスをします。そして、関係者が増えれば増えるほど、たった一つのミスが大きな事故につながるリスクは高まります。特に、高速で駆け抜ける自転車レースでは、その危険性は計り知れません。

そして背景の違いも大きいです。

もちろん警察官>>警備員>>一般の方 と安全性は変わりますが

  • 警察官の常識とスキル
  • 警備員の常識とスキル
  • ボランティアの常識とスキル

これらの認識を完全に一致させるのは極めて困難です。だからこそ、私たちは「車両侵入や人の飛び出しは、必ず起こるもの」という厳しい現実を前提に対策を考えなければなりません。事故を未然に防ぐためには、一つの対策に頼るのではなく、幾重にも張り巡らせた防御策(二重、三重のセーフティネット)で臨む必要があるのです。


解決策:「競技者が守る」という発想の転換

では、どうすれば安全性を高めることができるのでしょうか。
鍵は「競技を最もよく知る人が、安全管理の中心を担う」ことです。

1. 最高の監視員は「選手経験者」

交通整理やコースの監視(立哨)は、誰が担当するのが最も安全でしょうか?

その答えは明確です。訓練された警察官よりも、競技連盟の審判員や、実際にレースに参加している選手たちです。

彼らは、選手目線で「どのタイミングで車両が入ると致命的か」「この先のカーブは危険だ」といったことを、誰よりも早く、正確に察知できます。実際に同じコースでも、要所を警備員やボランティアが固める市民レースと、全てを競技連盟スタッフが管理する公認大会では、圧倒的に運営が安定していました。

2. 持続可能な安全体制へ:「参加費ゼロ」の循環モデル(周回レース)

周回コースで行われるレースであれば、画期的な安全対策とコスト削減を両立できます。
それは「参加者が運営側にもなる」という仕組みです。

【提案】 例えば、午前のレースに参加した選手が、午後のレースでは監視員(立哨員)を務めます。その代わり、自分の参加費は無料になります。※もちろん遠方の方は帰りの時間があるため難しいのですが、地元の選手10名だけでも増えれば、安全安心度は確実に高まります。

自分が走るコースの安全を、今度は自分が守る。この「当事者意識」こそが、最高の安全対策となり得ます。主催者にとっても、規制コストを大幅に下げられるという大きなメリットがあります。

(参考情報)
警備会社と言っても、スポーツイベントを理解して対応できるスタッフがいる会社はかなり少ないです。
コストも1人あたり、1日25,000~30,000円程度費用がかかっています。

3. 大規模レースの安全確保策(ラインレース)

参加人数が多く、集団が長くなりやすいラインレースでは、集団と集団の間に車が侵入するリスクが高まります。先頭集団だけでなく、後続の選手たちも守らなければなりません。

移動審判員を「約500m間隔ずつ3〜4名1組のチーム」とし、パックごとに配置
この「安全確保部隊」がコース上の不測の事態に即座に対応できる体制を築きます。ポイントは1台ではなく3~4名1パックとすることで1の盾、2の盾、3の盾となり、選手と車両が接触することは避けることが出来ます。

まとめ:安全な大会は、みんなで創る

公道レースの安全は、誰か一人が頑張れば実現できるものではありません。多くの人が関係するため「ミスは必ず起こるもの」という前提に立ち、競技を熟知した人々が中心となって、何重もの安全策を講じる必要があります。

そして、「選手が運営にも参加する」という新しい発想は、コストを抑えながら安全性を飛躍的に高める可能性を秘めています。参加者、主催者、そして地域の方々が一体となって安全を創り上げていく。目指すべき姿のひとつだと思っています。

最後に交通規制を行っていただく方(警察官も含め)のスキルを判別する方法をお知らせします。
「自転車はレース中1秒間にだいたい何メートル進むでしょうか」
と聞いてみてください。とても大事な要素です。

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