JBCFとJCLがどうなるか2021年の大予測 #1 JBCF経営実情

https://www.jcleague.jp/ 公式サイトURLよりアイキャッチ画像

年末年始の酒のネタとして、レースを主催や裏方をさせてもらう立場から、参加者の皆さんがあまり知らない目線・事実から、JBCFとJCLが2021年どうなっていくのが大予測を記事にまとめます。2021年2月頃には体制が判明すると思いますのでその時、また思い出してご覧いただければ幸いです。

JBCFの経営実情について

競技連盟というと、陸上競技の大迫選手のように日本記録を更新したら1億円!のように多大なるお金と権力を発揮しそうに思っているかもしれませんが、自転車はかなり貧しいです。売上高で言えば、商工会議所のモデルケース社員4名の小規模小売店(法人)4,000万として、3件分くらいしかないのです。※令和元年度の決算書を見ていただくと規模がよくわかると思います。

その規模で、全国毎週のようにレースをするには正直無理があり、まさに「自転車操業」という言葉がふさわしい実情なのです。

レースの運営には、主に6つの項目です。

(1)開催調整(基礎プランニングと道路を止める各種業務)
(2)レースディレクター(審判業務ではなく全体管理)※主催者または専門職が対応
(3)必要人員の手配(総務側、審判側、その他設営等)
(4)必要部材の手配と設置
(5)審判・チーフコミッセール(ルール順守と着順判定)
(6)タイム計測

【雑談:JBCFに実はプロは存在していない】
他競技の大きな連盟には専任(それだけで飯を食べている=いわゆるプロがいて)全体統括を行いますが、JBCFはレースディレクター(全体調整をする人)もチーフコミッセール(審判トップ)もプロではなくアマなのです(専任ではない=他の仕事をしながら職務にあたっている)プロとアマの差は、そこで何か大きな失敗をしたら飯が食えなくなるかどうか、失敗があれば二回目はきっちり改善するのがプロですが、いくらできる人であっても、他の仕事(生活の本職)をしながらは優先順位からやはり無理が生じます。皆さんも思い当たる節があるのではないでしょうか。

と雑談はさておき、JBCFはいかんせんお金がない組織です。収入構造はエリートツアーの参加費に大きく左右される構造であるのは事実ですが(これは皆さんもなんとなくご存じのはず)この4年間で累計参加者数は年間14,000人から10,000人に激減しています。

大会参加者総数(人)
13960→12787→11906→10239
1人6,600円と仮定して最低2,500万円~(個人登録費も減りますからそれ以上)の売上高減。1億円ちょっとの売上高からすればかなり大きく売上げを落としていることがわかります。

【なぜ自転車レース業界は貧乏なのか、その収入構造】
全く別の業界(テレビ業界)から自転車業界からの参入でしたが、外野から見れば稼ぐ努力(仕組みづくり)をしておらず、貧しくなるべくして貧しくなっていると思います。

自転車業界の大会運営費の主たる内容はだいたい3つです。

(1)補助金や助成金
各都道府県単位の自転車競技連盟の開催する大会はほぼこれです。地方競技連盟は少額ながら継続でいただける模様です。地方の青年会議所や商工会などが主体の場合、上限300万円で3年間補助などが多く、補助金頼みの大会は3回開催したら消滅します。周りを見渡すと皆さんもそれかーと納得してもらえると思います。

(2)個人参加費
自転車業界の人はほとんど「ここ」で稼ごうとしていると思われます。JBCFも一時誰でも参加できますと集めたのはいかに個人参加費を集めることに特化したため。参加者は増えると売上高は増えますが、1日で公道封鎖できる時間は限られておりE3のレースが15㎞など初心者レース以下というすし詰め状況(結果:満足度は下がり参加者も激減した)は記憶に新しいところだと思います。

(3)協賛
企業や地域協力者からの協賛。お祭りなどと仕組みは一緒です。が、他のスポーツに比べ認知度が低く。広告価値も少ないため協賛も集まらない、集まっても少額ということがほとんどです。だから(2)個人参加費に頼る傾向になってしまうのも致し方ありませんが、最高峰のプロリーグならば、この協賛(広告価値)をいかに作れるかが最重要ですが、現状ほとんどできていないと言っても過言ではありません。

そこに、(4)関連職種(プロモーション)ある程度の規模の会社のみ
マトリックスさんが良い例ですが、自転車レースタイム計測機材の販売促進を兼ねて、自社チームを持ち、レースも主催する。これはある程度大きな会社でないと出来ませんが実際のレースで使われている商品なら「大丈夫だよね」という安心感を持っていただくための広告宣伝費として有効な手段。

LinkTOHOKUもマトリックスさんに比べれば超小さな会社ですがこのパターンです。最初、自転車業界に入った時に「どう稼ぐか悩みましたが」あまり変わらない業界であることがわかり、改善できることは実はたくさんある。お金がかかるタイム計測や大会運営のコストを従来の半分くらいに下げ、その他こまごましたものもワンストップで揃えられる仕組みを作ればビジネスになると判断。

ツール・ド・ふくしま
https://tour-de-fukushima.jp/

直接経費もかかりますが、日本では開催調整が難しい公道ロードレースを展開することで主催者(企業・自治体)はいつ、どこで、何人くらいの自転車やマラソン大会をしたいというだけですべてが完結することを見せる最大のプロモーションにもなっています。商売はもちろんですが、いちサイクリストとしてロードレースは公道を走る方が何倍も楽しい(自分が参加者だったら)という思いがあり、自分たちが住む福島県に旅行を兼ねてきて欲しいとできることはと進めています。

と、話はそれましたが
「社会的な認知度・広告価値が低いために稼げない」

稼げないから何をするかというと、いかに参加者を多く集めるかに主点を置いてしまう傾向が強く参加費頼みの大会運営になってしまうのがまぎれもない今の現状です。野球、サッカー、バスケなどスタジアムスポーツのように観戦料収入もありませんのでなおさらです。長らく食えない体制で生活してきた人は、その中でどうするかということを考えてしまい、外から稼いで価値も上げていくことが難しいのかもしれません。

先日SNSでネタ的につぶやきましたが
JBCFとJCLの分裂を強制的にまとめる間違いない方法は「リーグ優勝賞金です」

JBCFになるのか、JCLになるのか、はたまた第三のリーグになるのかはわかりませんがそのリーグの年間優勝賞金が、バスケBリーグの優勝賞金のように5,000万円とすれば自然と一本化されます。お金がすべてではありませんが、お金があれば解決できるものを解決していないのが現実です。

あっという間にeスポーツの業界は進化しシャドウバース
https://app.famitsu.com/20191211_1556048/
は賞金1億円という価値を作りだしました。

自転車業界にはZwiftやRouvyなどもあります。そちらで稼ぎリアルな世界に投資するというのも解決方法です。先日大磯クリテでEMU特別戦というレースがありました。Zwift関連からリアルレースへ。先進的でとってもいい流れだと思います。EMUというのはhttps://emuspeedclub.hatenablog.com/こちらを参照してください。

【審判の日当】
皆さんが日頃お世話になる(中には憎たらしく思う)審判の皆さんの1日あたりの日当ですが、なんとJBCFは3000円程度です。えっ?と思う方たくさんいるかと思います。普通に考えれば最低時給800円としても半日としてだいたい1万円くらい?と思っていると思いますが審判ライセンスを取得し更新料も払って自分の時間を使ってボランティア活動です。お金ではなく普及活動など自転車に対する熱い思いを持った方々に支えられていて競技が成り立っていることも忘れないで、文句だけでなくたまには感謝の気持ちを持って接していただければJBCFの現場に立つ審判員の皆様も喜ぶと思います。

と少し話はそれましたが、競技の質を高めるには審判の皆さんがすべてなのですが、もっとも大事にしなければならない審判の方々にそれしか払えない財務状況(令和元年度にいたっては前年から約3,000万円の赤字を作っている)では開催するレースが多すぎると思います。公道レースの大幅減(大井ふ頭やツールド熊野などが魅力あるレースが減った)で群馬と広島が主体では窮地に追い込まれるのも紛れもない事実です。群馬と広島を走るためにアテンダントや監督会議は無駄でしかない(他のレースでしばりなく楽しく走れて賞品も豪華)となれば市民レースにウェイトシフトします。

経営状況がわるくなった「いきなりステーキ」
https://ameblo.jp/zivilisation/entry-12643852259.html
と全く同じで、支えてもらう従業員にまともな給与が払えず(審判日当)肉マイレージの改悪(公道レースがなくなり群馬と広島)と重ねると、いつ破綻してもおかしくない状況にあるのは、決算書が見れる方であればおわかりだと思います。

(以下PDFを参照ください)
JBCF決算書等
※数年の推移をまとめたもの

令和元年決算書
※令和元年度の決算書

「#2 なぜ分裂したか」に続きます。

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